本日発売の『芸術新潮』 2月号の特集は、「春画ワールドカップ--浮世絵vs世界のエロス」です。
優勝候補の筆頭は日本の浮世絵春画で、中国、インド、トルコ、ペルー、古代ギリシャ・ローマそしてヨーロッパと多彩なエロティックアートが紹介されています。
私も浮世絵春画の部で全面協力しています。フランス文学者の鹿島茂さんと上方風俗画研究者の山本ゆかりさんがゲストとして浦上蒼穹堂を訪ね、歌麿の「歌満くら」や北斎の「喜能会之故真通(きのえのこまつ)」などを三人で鑑賞しながら、春画談義に花を咲かせています。
性を主題とする美術は古今東西に普遍的な存在です。にも関わらず、それらを抑圧する傾向は多くの文化で見受けられてきました。日本においても明治時代後期以降、春画はタブー視されてきました。しかし近年、特に西欧において日本の浮世絵春画は広くその芸術性を認められつつあります。17,8年前より日本国内でも春画の位置づけを再考する動きが見られるようになってきました。美術の世界だけでなく、日本社会や文化の歴史をより正しく理解するため、春画をタブーとする意識を取り除くことが大切だと思います。
『芸術新潮』の鼎談は以下のような私の愚見で締めくくられています。
「蔵に入れておくと火除けになるとか、戦場で身に付けていると弾除けになるとか、昔から春画の効用がいろいろと言われてるんですが、その中に鬱を払うというのもあるんですよ。今、日本国中鬱だから展覧会もぜひ実現させてもっと春画を見てもらい、みんなに元気になって欲しいですね。」
よろしければ、ご覧になってください。