「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、あれほど暑く長かった夏もやっと終息し、朝晩は少し寒いくらいになってきました。皆さまいかがお過ごしですか? 明日からはいよいよ10月です。
10月18日、19日、20日の3日間、東美特別展が開催されます。1964年の東京オリンピック開催に合わせて第1回展が催され、今回が19回目です。
浦上蒼穹堂は前回と同じく3階のブース29で展示します。今回のハイライトは北宋青白磁牡丹唐草文百合口瓶です。写真と解説、来歴をご覧下さい。
青白磁牡丹唐草文百合口瓶
北宋時代、景徳鎮窯は薄い白磁胎に青みの強い透明釉をかけた青白磁を完成させた。この青白磁は影青ともよばれ、片切彫りで文様が施されると、彫りの深浅に従って釉の青さに濃淡が生じ、夢幻的な装飾効果を挙げるのである。この瓶はそうした青白磁特有の装飾効果が最も美しく顕れた作といえよう。尊形の瓶で、丸い胴から直線的に頸部が伸び、その口は縁が百合の花のように形作られている。胴裾は細く締まり、薄く高めの高台がつく。百合口も丁寧な成形であるが、細やかな工夫は胴を覆う牡丹唐草文にも認められる。すべての文様の輪郭をごく細い刻線で描いてから、それにしたがって丁寧に片切彫りを施し、花弁や葉の一つ一つに浅い櫛掻きを加えている。この牡丹唐草文の葉の形が牡丹の花弁とほとんど同じなので、全体が花びらに覆われているように見える。まさに青白磁の白眉といえる作品である。
■所載
『世界陶磁全集・宋』小学館
『中国の陶磁5・白磁』平凡社
『陶磁大系37・白磁』平凡社
『龍泉集芳 ?』繭山龍泉堂
『中国名陶百選展』日本経済新聞社
『中国陶磁シリーズ8・宋代の青白磁』大阪市立東洋陶磁美術館
『中国美術展シリーズ4・宋元の美術』大阪市立美術館
『中国陶磁の八千年』矢部良明 平凡社
『陶器講座6・中国2・宋』小山冨士夫 雄山閣
『日本陶磁大辞典』角川書店
■出陳
東京国立博物館「中国の陶磁展」1994年
愛知県陶磁資料館「東洋陶磁名品展」1994年
大阪市立東洋陶磁美術館「宋磁展」1999年
泉屋博古館分館「中国陶磁 美を鑑るこころ」2006年
他にも明正徳緑彩龍文盤(在銘)など優品をたくさん展示しますので、ぜひ会場にお越しください。お待ちしております。
開催日時
10月18日(金) 10:00 - 19:00
10月19日(土) 10:00 - 18:00
10月20日(日) 10:00 - 17:00
会場:東京美術倶楽部
ブース No.29
http://www.toobi.co.jp/special/index.html
ところで、明日から一週間ほどロンドンへ行ってきます。
大英博物館で10月3日から始まる「春画-日本美術における性とたのしみ」展のオープニングとシンポジウムに出席するのが主な目的です。今年2013年は、J400といって英国と日本が正式に国書を交換してからちょうど400年目にあたります。この展覧会はJ400の目玉企画で、質量ともに過去最高最大の春画展といえます。
ひょんなご縁から、浅木正勝氏と私がこの展覧会のスポンサーになったのですが、10月2日のオープニングレセプションでは大英博物館館長の次にスポンサーを代表して浅木さんが挨拶をされます。こっそりその内容の一部をご紹介すると、「我が国の急速な近代化の中で、春画は積極的には評価されないままでありました。実際、これまで本格的な春画の展覧会は、我が国では行われておりません。この大英博物館の展覧会の成果によって、我が国にあっても、充実した展覧会が開催されることを心より願っております。」と、正に日本での巡回展を期待している方々の気持ちを代弁されています(する予定です)。私も実際にどのような展観になっているのか、拝観するのが今からとても楽しみです。また帰国しましたら、ご報告させていただきます。