1月23日にもなって、新年のご挨拶というのも間の抜けた話ですが、やはり季節のけじめとして
"皆さまには お健やかに佳き新春をお迎えのこととお慶び申し上げます"
ちなみに今年の中国の旧正月(春節)は1月31日です。春節は中華圏で最も重要とされる祝祭日で、新暦の正月に比べ盛大に祝賀が繰り広げられます。
さて、2014年の浦上蒼穹堂は、創立35周年を迎えます。ついこの間、30周年記念展をやったばかりと思っていましたが、月日が経つのは本当に早いものですね。今のところ35周年記念事業は特に考えておりませんが、3月6〜9日に開催される「アートフェア東京」、4月24日〜26日「東京アートアンティーク」、10月17日〜19日「東美アートフェア」に参加することは決まっています。特に「アートフェア東京2014」はボードメンバーの1人としてミーティングなどを重ねています。1月27日(月)13時半からパレスホテル東京で山本豊津氏らとともに記者発表会に登壇します。
現在、江戸東京博物館で開催中の「大浮世絵」展は国際浮世絵学会創立50周年を記念した展覧会で、浮世絵の名品がずらりと展観されています。連日大盛況で1日平均3600人、土曜日はなんと6000人もの入場者があるそうです。私も国際浮世絵学会常任理事(4月からは総務委員長に就任予定)をさせていただいている関係上、大へん嬉しく思っていますが、あんまり混みすぎて人の頭越しにしか作品を見られないのでは、鑑賞者も満足されないかもしれません。その点、去る1月5日に閉幕した「大英博物館春画展」はゆっくり鑑賞できるように入場制限をしていました。昨夜、今回の大英春画展の立役者である、大英博物館日本セクション長のティム・クラーク氏とお会いし、いろいろお話をしたのですが、3ヶ月間の総入場者数は約9万人(当初予想の2倍)、その内55%が女性、鑑賞時間は入場者1人平均70分など非常に興味深い報告がありました。また来場者へのきめ細かいアンケートを実施し、その中に「情感が豊かで遊び心に富む日本人の隠れた一面を知り、日本人に対する印象が好転した」という内容のものもありました。
我々関係者一同、引き続き春画展日本開催に向けて、一層努力することを確認しました。
一昨日(1月21日)の毎日新聞朝刊では、青柳文化庁長官の「かつては娘たちが嫁入り道具として持って行くようなもので、ポルノグラフィーとは違った社会的存在であることを国内でも堂々と示すべきだ。」というコメントを紹介し、この記事を書いた女性記者は「大英博の展示で初めて実物に触れ、江戸時代の庶民の生活文化を表した興味深い美術作品、との印象を持った」と述べ、「春画は美術の一ジャンルであり、性をおおらかにとらえていたかつての日本人の意識を伝える文化財であるとの認識が広がりつつある」「大英博の展示が、近世文化のエッセンスが詰まった春画を自国の文化として見直すきっかけになってほしい」と特集記事を結んでいます。
1月1日発売の「月刊ギャラリー1月号」に、詩人の小川英晴氏と私との対談が載りました。「本物を見る目 見抜く目」というタイトルで9ページに渡って大いに2人で古美術について語り合っています。小川氏は序文で「満を持してと言うべきか、いよいよと言うべきか、今月の対談のお相手はかねてより敬愛の念を抱いていた浦上蒼穹堂の浦上満さんである。」「浦上満さんは今も自ら信じる美を求めて中国陶磁の名器を紹介し続けている。読者諸氏も一度は浦上蒼穹堂を訪ねて数々の名品にじかに目で見、手にしてほしい。古代からの名品を観ずして現代美術を語るなかれ、これが浦上蒼穹堂に通って、私が得た結論である。」と述べておられます。よろしければ月刊ギャラリー1月号をご覧ください。