コラム記事一覧

  • コラム 古陶磁ー唐三彩万年壺

    唐三彩万年壺
    中国 唐時代(AD618-907)
    高さ18.6cm 径22.2cm

    中国陶磁の長い歴史の中で、最もきらびやかな美しさを賞されるものーそれは唐三彩、といってもさしつかえないと思います。中国陶磁に興味をお持ちの方なら、一度や二度は必ず唐三彩を見たことがあるでしょう。世界中の美術館、博物館に所蔵されていて、中国陶磁の中でも最もよく知られたものの一つといえます。しかし、その存在が知られるようになったのは、わずか100年程前なのです。20世紀の初め頃、河南省洛陽付近で鉄道工事がおこなわれたときに、多くの唐墓が壊されて、莫大な量の唐三彩が発見されました。そして、世界中の学者やコレクターの注目を集め、欧米や日本などに運ばれていきました。唐三彩の大部分は副葬品で、実用品ではなかったため、この工事で大量に発見されるまでほとんど知られていなかったのです。
    三彩とは三色の釉をかけたものという意味で、基本は緑と茶と白を指します。この万年壺は堂々とした形に鮮やかな三彩が施釉された名品です。

  • コラム 古陶磁ー彩陶豆

    彩陶豆

    中国新石器時代馬家窯文化(B.C.3800−2000)
    高さ25.3cm
    弓場紀知著「古代の土器」(平凡社)所載

    素焼きの肌に黒やセピア色で彩色文様を施した一群の土器を、一般にアンダーソン土器とよんでいます。それは1921年、スウェーデンの地質学者J・アンダーソンが中国の河南省仰韶村において彩文土器を発見したことによっています。ここに中国陶磁の歴史は、新石器時代までその発祥が遡ることとなったのです。
    アンダーソンは、その彩文をもった土器の起源を西アジアではないかと考えたのですが、20世紀後半、中国の考古学者たちの精力的な調査、研究により中国の彩文土器は中国という文化圏の中で発祥し、展開したということが証明されました。また、中国では土器という称をつかわずに、土器も陶とよぶので、これらの彩文土器も彩陶とよばれます。
    この豆とよばれる台鉢のような作品は、黄河上流、甘粛省の馬家窯文化の典型作です。今から約5000年前の作品とは思えない斬新な幾何学文が描かれています。

  • 東美アートフェア2009 秋

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    浦上蒼穹堂は、10月16日〜18日に開催される東美アートフェア2009 秋に今年も参加出店いたします。
    今回は唐三彩騎馬美人俑一対などをはじめ、中国古陶磁の優品を展観する予定です。
    どうぞおでかけください。


    ブース3-15 浦上蒼穹堂

    10月16日(金)午前10時 - 午後7時
    10月17日(土)午前10時 - 午後6時
    10月18日(日)午前10時 - 午後5時

    入場料:一般 1,000円(前売 900円)
    ※前売券はローソンチケット・チケットぴあ・ファミリーマート・サークルKサンクスにてお求め下さい。

    会場:東京美術倶楽部
    東京都港区新橋6-19-15

  • コラム 古陶磁ー緑釉皮嚢壺

    緑釉皮嚢壺

    緑釉皮嚢壺
    中国 遼時代(907-1125)  
    高さ32.0cm
    遼は内蒙古の契丹族がおこした王朝で、200年余り中国の北方を支配しました。遼時代の陶磁器は遊牧民であった契丹人の好みを反映した独特の形の器が作られました。その典型的なものが皮嚢壺で、遊牧民が日常使用した水や酒を入れた皮袋を模したものです。実用の皮袋をかたどった素朴なものからこの作品のように、いかにも貴人用と思われる意匠をこらしたものまで、さまざまな形があります。この皮嚢壺は上部に蓋付きの注口とその側に二匹の猿が腰を据えている珍しい作品であり、また作行もたいへん優れたものです。胴部には刻線でパルメット文が描かれ、その上に緑釉が施されていますが、その一部が銀化して表面が銀色に輝いてみえます。形、デザイン、大きさもたいへん似通った作品がアメリカのボストン美術館に所蔵されています。

  • ご無沙汰しました

    浦上コラムの更新は、な、何とほぼ1ヶ月ぶりです!お陰様で30周年展が好評の内に、無事終了しましたが、作品の納品などいろいろ事後の仕事も沢山あり、こんなに時間がたってしまいました。言い訳です、すみません。これからは、もう少しマメに更新いたします。
    さて、今週の金曜日(6月19日)は、私にとってレクチャーデイになりました。まず午前10時45分から慶應義塾大学三田で「アート・マネジメント講座」(古美術品の流通システム)の講義を1時間半します。これは、もう10年もやっていますが、対象は文学部の3,4年生で毎年かなり多くの学生さんが、熱心に受講されます。
    同日、午後6時半からは慶應丸の内シティキャンパスで、「生活と美術」(美術を活かす生活)という講演を2時間、その後質疑応答など1時間、終了は9時半の予定です。こちらは「アート深耕!芸術からはじまる新しい絆」という講座のコマで、大学教授や美術館館長、アーティストなど美術の専門家が毎回受け持ちますが、私は古美術商という立場で、暮らしの中の美術品のあり方、活かし方についてお話ししようと思います。受講者は社会人の方々でお仕事も年齢もさまざまで、共通点は美術が好きで興味があるというところでしょうか。貴重な時間を割き、かなりの参加費を出して来られるので、こちらの方も気合いを入れて頑張ろうと思っています。


  • コラム 古陶磁ー唐白磁共蓋万年壺

    中国 唐時代(AD618-907)
    高さ23.8cm
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    前回、白磁とは白い素地に透明釉をかけ、高火度焼成したやきものと定義しましたが、その白磁の起源は近年の調査、研究で、北斉時代(550- 580)ということがわかってきました。そして、隋時代を経て唐時代に大いに発達します。技術的にいえば、それまで主流だった青磁から、胎土や釉薬の不純物を取り除くことによって白磁は完成します。その背景として、当時の貴族たちの美意識の変化がありました。この頃、シルクロードを通じてもたらされた西方のガラスや銀器に触発されて、白磁という新しいファッションがたいへん流行しました。唐時代の人々も結構、新しもの好きだったようです。
    この胴が丸々と豊かに張った壺は、万年壺と呼ばれます。穀物などが入った状態で出土する例があることから、万年の糧を蓄える壺として、この名が生まれました。まさに盛唐期を代表する器形といえます。底裏は平底で、宝珠形のつまみをもつ蓋がついています。
    この時期の豊かな文化を象徴するように、よく整った美しい形をしています。

  • 30周年記念展

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    今週の月曜日(18日)より、浦上蒼穹堂30周年記念展を開催しています。
    おかげさまで大勢の方々に来ていただき、会場はたいへん盛り上がっています。
    実はこのブログも何度か更新しようとしたのですが、次々にご来場される方々とお話したりお相手している内に時間がなくなり、とうとう今日になってしまいました。
    あと一日半ですが、明日の日曜日まで開催しておりますので、よろしければお出かけください。




  • 30周年記念図録



    01.jpg装幀は菊地信義さんにしていただきました。「蒼穹」の文字は金箔です


    世の中はゴールデンウイークまっただ中のようですが、私ども蒼穹堂はカレンダーどおりに営業しております。

    むしろ通常より慌ただしくしています。といいますのも、30周年記念展を5月18日から24日まで開催いたしますが、その図録の作成に追われてたいへんでした。なんと本日5月2日、最終チェックを終え印刷会社に全て渡したところです。

    出来上がりは、どんなに早くても5月14日だそうです。カラー170ページ、モノクロ40ページ総ページ214とかなり厚くなりますが、特殊な紙をつかいますのでそんなに重くなりません。

    いつもドタバタで恐縮ですが、かなり念を入れましたので、ご期待ください!



  • コラム 古陶磁 - 青白磁瓜形水注

    中国 北宋時代(960 - 1126)
    景徳鎮窯 高さ17.1cm

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    このコラムの古陶磁カテゴリでは、中国古陶磁を毎回1点取り上げて解説していきます。
    第1回は青白磁瓜形水注です。

    白磁とは、白い胎土に透明釉をかけたやきもののことをいいます。それでは青白磁とは何でしょう。
    青磁?白磁?それともハーフ? 上の写真をよく見てください。白がベースでやや青みがかっていませんか。そう結論からいうと、青白磁は白磁の一種と考えてかまいません。ただ透明釉が青みをおびていて、とくにくぼみになって釉がたまりやすいところは、ブルーイッシュに見えます。
    古来、中国の人々はこの青く澄んだ色合いのやきものを「影青(いんちん)」と呼びならわして愛玩してきました。景徳鎮窯で焼かれた青白磁は、常に世界をリードしてきた中国陶磁の歴史においても、ひときわ高い峰を形成している宋代(960-1279)の陶磁器(宋磁)の代表的なものの一つです。
    釉の美しさも重要ですが、何より形が大切です。この水注には端正さと緊張感そして気品が備わっています。900年前の高貴な人々が美酒を入れて楽しんだものと思われます。




  • アートフェア東京

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    有楽町の国際フォーラムで4月3日〜5日に開催されたアートフェア東京に今年も参加しました。
    昨年同様、たいへんな数の来場者があり、たぶん軽く4万人は越していると思います。
    コンテンポラリーアートから古美術まであらゆるジャンルのものが展示されていて、私は異種格闘技の場と呼んでいます。
    蒼穹堂は古代中国のやきものを中心に展示しました。彩陶双耳壺や戦国時代の硬陶印文壺、そして前漢時代の黒陶双耳壺などを特集しました。それらの力強さや造形の斬新さに多くの人が興味深く見ていかれました。
    中には現代美術と間違われて作者名を聞かれる方もいて、何千年も前のものなのに新しいと感じる人もいました。こういう見方はとてもいいなと思います。